投稿日:2018/11/26(Mon) 18:28 No.88

    【シイキ インスペクション その@】

北根井戦線科学班 総勢150人
OB、僕の様な外注、一時応援を合わせても50人もいるかどうか。
ここに来てから20人以上見たことがない。
まぁ、機関からの補助金を捻出する為には必要な処置だが。

150人、本当にいたとしよう。仮にね。
No1、班長は無理だとしても、その下TOP3には連ねているだろう。
頭脳の優越の話だ。

学歴社会C国で飛び級合格。狭門と呼ばれる大学にね。
主席で卒業後はA国にスカウトされ、国家諜報部へ。再生医療に従事。
自分の立ち位置に疑問など微塵もない。人生一度も。
一級品の歯車。

なのにこの扱いはなんだ。

来る日も来る日も雑務処理。

「シイキさん、この報告書の英訳をお願いします。」
「シイキさん、これ何て意味なんですかね?英語わかんないっす」

シイキさん シイキさん シイキさん

うるさい!
そんな事翻訳ソフトにでも任せておけ!

私の能力はこんな所で使う為にあるんじゃない

最高の歯車だ。
オールマイティだ。
しかし、ここはないだろう。いくら何でも。

この赴任先はあまりにも特殊でそして異常だ。


「こら。科学部。戦闘服まで出来ないん?」


来たな、スペシャルアブノーマル。
彼女だ。

「ら、蘭さん!わざわざ来て頂かなくても...完成しましたらこちらからご連絡しますので、はい。」

「わざわざって、すぐ近くじゃん。で、まだみたいね、服。」

「す、すいません。何分、不慣れなもので、はい。ですが、もう間もなくですので!今しばらくお待ちください、はい。」

「そっかぁ。楽しみにしてるよ、連絡。」

「は、はい。」

「ん?」

「ど、どうされました?何か....」

「なんか顔色悪いなオマエ。ちゃんとゴハン食べてっか?」

「あ、あ、あの、その...ハハハ」

「食べてないなこりゃ。ダメだぞ、食べなきゃ。...あとで差し入れしてやんよ。待ってな。」

「そ、そ、そんなお気を使わないで下さい、はい。この通り元気ですから、はい。」

「待ってな」

「あっ!蘭さん!!」

後ろ姿に目を流す。
茶髪のポニーテール。
言いたくないが、正直良く似合ってる。言いたくないがね。


「サトウ。もっと科学班としてのプライドを持てよ。毎回、毎回あんなにへこへこして。」

「ハハハ。いいんだよ。....差し入れなんだろうなぁ」

ダメだこいつは。


榊 蘭。
北根井戦線のボス。つまり僕達のボス。
14歳の少女がだ。

......

頭が痛い。

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