
砲 投稿日:2018/10/18(Thu) 00:03 No.53
「体毛の採取をします。こちらのヘアキャッチャーで毛根ごと抜かせていただきます。医療用なので痛みはありません。それでは....」
「えー、今回の敵が用いたウイルス、少し説明しましたが ”ナノマシン” は無差別ではなく、攻撃対象をある程度、識別しております。
まだ証明前ですが、15歳前後の第二次成長期ピークの女性ホルモンを認識し、吸着しているものと思われます。髪や皮脂、汗などの分泌液ですね。.......狙いはやはり」
「カジワラ君、採取、採取。」 女医からの巻きが入る。
「も、申し訳ありません、そうですね、はじめましょう。」
(ずっとすっぽんぽんなんだぞ!考慮しろ!)
話は理解できないが、彼女の気持ちは理解したい。
「カジワラ君。ライト照らして。あと検体回収ね。」
「はい。」
「髪の毛から採取します。頭頂部でいいわよね?」
「はい、5、6本あればいいので。」
「OK。ライトお願いね。このキャッチャー、神経使うのよ。....いきますね。」
ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ ポスッ
(結構な音が....大丈夫かなぁ?)
髪の毛を引っ張られた痛みを思い出す。
「カジワラ君、替えのサンプリングジップ」
「はい。いやぁ、綺麗に取れるものですねぇ」
(痛くなったかな?)
なびかせていた茶髪が浮かぶ。あの美しい髪。
「眉毛、睫毛はどうする?」
「今回は必要ありません。鼻孔内も同じくです。」
「OK。じゃあここを採取して終りね。」
(...............)
「失礼します。上の方でいいよね。」
「いえ、性器に近い所でないと意味がありません。陰毛そのものより、分泌液、女性ホルモンを識別していると思われるので。」
(せいき!?いんもう!?)
思春期の子供が反応する言葉、ワンツーではないだろうか。
「うーん。とはわかってんだけど、これ見て、ほら。生えてないでしょほとんど。これからって感じで」
「そう、です、ねぇ できる限りで。ここらあたりで。なんとか」
(生えてない??何が???何が???)
答えはわかっている。もちろん興味多感な男子。でも答えは見たことがない。
わかるのに、見たことない、見えない。
この空間はジレンマしか生まない。
あなたもそう思いません?