投稿日:2018/10/15(Mon) 01:16 No.46

「全て入れられたようですね。ご協力の程、ありがとうございます。」

「これらは除菌処置しますので、お預かりしますね。」

バックを持つ音。

ふいに引き戸が開く。

油断した。
聞き耳を立てている姿を見られてしまった。

「あ.....あの...す、すい...」誤魔化しようがない。

「ごめんねー。まだ時間がかかりそうなの。心配かもしれないけど大丈夫だから待っててね。」

僕を咎めるどころか優しく気にかけてくれる女医。
なんて悪者なんだ僕は。

んっ
女医の手には透明のバック。
中には見覚えのあるパーカーが入っている。

(こ、こ、これは!?あの子の!!?)

不安が締め付けるバスの中、平然と佇む彼女。
混乱と怒号がひしめく体育館の中、皆を鎮める彼女。

僕を底から救くってくれた彼女。
そして甘い匂い。

記憶が駆け巡る。

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