投稿日:2018/10/12(Fri) 23:21 No.35

山の上の校舎。年に一度の宿泊学習の時にしか開放されない。
体育館に女子約500人が集められている。いや押し込められている。
整列も何もなく、思い思いに喋り、驚嘆悲観している。


圧巻だ。その中心に僕がいる。叫びたい。女子の中心で叫びたい。

(ここから助けてください!!!誰か!!)

大勢の女子に囲まれるというのは嬉しさより恐怖が勝る。
いやはや勉強になりました。

壇上の上に僕たちをここへ誘った防護服の科学班と呼ばれる人達と白い白衣を着たスタイルのいい女医?さんがマイクを手に現れた。

「生徒諸君。落ち着いて聞いてください。どうか落ち着いて。これより大切な事を話します。どうか落ち着いてください。皆さんの協力が必要なのです。」

優しい語り掛け。泣き叫ぶ赤ちゃんをあやす母親のようにゆっくり語ってくれる。
騒がしい場内が少し落ち着いた所で、

「整列!列を作って!」

科学班達が整列させていく。

前の女子に倣い、列になっていく。
そして何か透明な物を配っていく。

「後ろに回していって!後ろに!」

前の女子から僕に。僕から後ろに。せわしなく動くリレー。

「皆さん行きわたりました?持ってない方、手を挙げてください。」
何人かが手を挙げる。

これはなんだ?
手に取るだけではわからない。大きい。透明なビニール素材。チャックがついている。持ち手もある。
これはバックか?
透明のバックなんて初めてだ。
何をするんだこれで今から。

慌ただしさに消された恐怖、非日常が再び胸を絞める。

「えー。皆さん、行きわたったようですね。今配った透明のバックは皆さんの持ち物入れです。」

「その中に皆さんが今着ている物、全て入れてください。アクセサリーも靴もですよ。」

えっっ

場内に波が来ているのがはっきり感じた。混乱の波が。

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